1話の3 日菜子の場合 [占いカルテ]

   「お仕事を変わりたいんですね、

       今のお仕事は、何をされてるのかしら。

       あ、ここに生まれた時の苗字とお名前書いてくださいね。

       それとお誕生日も。

        そうそう、今の名前じゃなく生まれた時のです」

 

     スーパーでレジ打ちの仕事をしていて、人間関係で少し

   悩んでいると話しながら、名前と誕生日を書いた。

 

 「10日生まれね

 数秘術で占って見ます。

うん、     持って生まれた資質っていうか、

意義のある事を成し遂げる強さがあるね。

自己表現の場として、仕事するといい。

  あぁ 裏と表と言うか、物事の良い面悪い面を

両方とも見て、決断に手間取るかも。

 

見知らぬ環境や、

押しの強い人と一緒にいると

自信を失いやすいかな。

 

大切なのは、人と自分を比べない事ね。

比較し続けている限り自分らしさは見えてこないわ。

 

仕事は何がしたいの?

 

あんまり売り込むものでは

無い方が合うかも。

1対1のお仕事がいいかしら。

 

エステとか、ああ、そうね、

いいんじゃない、ネイル」

 

 

日菜子は、側にいると自分の元気がなくなってしまう

そんな先輩から離れた方がいいんだと実感した。

 

比べてもしょうがないのに

比べて心が沈んでいた

 

自分が劣っているわけではないし、

誰かに言われたわけでもなかった

 

比べる事で

自分を肯定しようとしていた事に気がついた

 

「ありがとうございました」

日菜子は、なんだか娘や主人に早く会いたくなっていた。

そんな気持ちになった自分に頬が緩んで

少し優しくなれた気がした。